2018年度 素形材産業 下請取引適正化活動レポート

下請取引適正化は、国と業界の追い風に乗って、一部自動車業界では着実に進んでいるようだ。今年5月、弊社と東京都金属プレス工業会とで行ったメールヒアリングによると、「型廃棄について、今まで何度やってもだめだったお客様がOKしてくれた」「支払い条件の改善が見られ、手形60日から現金払いとなった」「量産開始時に支払いスタートだったところが、金型完成後第1回試作品納入時に支払いがスタートとなった」等々、明るい報告も届いた。

一方、「自動車関連は良いが、航空機関連、船舶関連は変化なし」「世耕プラン(20169月に取りまとめられた『未来志向型の取引慣行に向けて』)自体を知らない、または理解していない企業は対応に変化が見られない」など、業界ごとに温度差があることや、本活動を周知徹底する必要があることを知らされた。

この結果を受け、早速我々は、航空機関連部品の金型製作~量産を行う某社を訪問した。驚くことに、航空機関連金型は原則的に永久保管しなくてはならないという。そのおかげで、保管型の数は徐々に増え続け、屋内外に棚や倉庫を設置し、さらに土地を借りてまで保管スペースを確保せざるを得ないという状況である。

保管するものは金型だけではない。「型保管問題」と一括りに呼ばれるためについ忘れてしまいがちだが、金型関連設備や冶具も、例外なく保管しなければならないのである。そして、それらの保管料はすべて下請業者負担、というのが慣例である。

事業革新パートナーズとしては、2018年度はこうした現状を把握するためにできるだけ多くの企業を訪問し、具体的なソリューションを提供する活動を行っていく予定だ。今回訪問した某社は、航空機関連部品の型情報収集作業が終了し、いよいよ次のステップである「交渉」の段階に入る。そのアクションをサポートするために、弊社より、型保管料負担の依頼文書のひな形を提供した。(同内容は、東京都金属プレス工業会と共同作成した独自アクションプラン『TMSAアクションプラン』にも含まれる。)


また、事業革新パートナーズは、こうした取組を報告する場があれば、積極的に参加していく。2018521()22日(火)に、福岡と大阪で、「素形材産業取引適正化『型管理実践セミナー』~型管理アクションプランの実施状況等紹介~」と題して、経済産業省 素形材産業室の主催によるセミナーが開催され、弊社代表 茄子川が講師として登壇した。質疑応答の時間には、両会場合わせて40名近くのご参加者とともに、現状改善方法に関して熱い議論が交わされた。
61日(金)、仙台(東北経済産業局)67日(木)、札幌(北海道経済産業局)においても登壇予定である。