事業革新パートナーズは、2017年から東京都金属プレス工業会と「下請取引適正化推進プロジェクト」を進めており、今年5月、独自のアクションプランである「TMSAアクションプラン・第2版」を発表した。
「TMSAアクションプラン・第1版」では、会員企業が適切な取引をするための情報収集・整備方法や、取引先との連携・協調のための資料提供方法等を具体的に提示した。第2版では、第1版の続編として、成功事例やノウハウ等を盛り込み、さらに、提言を加え、サプライチェーン全体への効果拡大を図っている。この「TMSAアクションプラン」が、下請取引に苦労している企業にとって、勇気ある自主活動の一助となり続けるよう、事業革新パートナーズは今後も情報収集を続け、アクションプランを適宜更新していく。
本活動を通じて、金型廃棄までの道のりの大変さが確認された。例えば、金型廃棄には、申請⇒検討(交渉)⇒許可⇒廃棄という手順を踏むが、申請するためのデータが揃っていない、という企業も多い。また、データがあったとしても、使用機種の検索や発注履歴の確認が重複作業になり、膨大な時間を要するため、担当者のモチベーションが上がらない等、この作業は実にマンパワーのかかる大仕事になっている。
しかしながら、金型の保管・管理に関する下請取引適正化活動は、各所で活発に取り組まれているため、今年は金型保管や下請取引をめぐる課題解決の方法が続々と提示される流れになりそうだ。
経済産業省は、2016年に「未来志向型の取引慣慣行に向けて(世耕プラン)」を公表後、法整備や指針策定を進めてきた。2019年度は、夏までに産学官の有識者協議会を発足し、金型廃棄の手順、量産終了となった型の保管期間の目安などについて議論する。目安ができれば、各企業は発注側と円滑に交渉できるようになるだろう。また川崎市ではこうした状況を背景に、金型情報をクラウド上で管理できる民間サービス導入の支援を開始した。市は、このサービスの普及を通じて、中小企業が抱える型管理の負担軽減を図り、生産性向上を後押ししていくという考えだそうだ。
事業革新パートナーズとしては、この活動を通じて、自動車産業サプライチェーン全体にわたり、金型本来の価値を再認識していただけることを目指している。そして、製品の品質を決定する金型を、適切な形で保管あるいは廃棄し、一定期間を過ぎた金型は作り直すという、生き生きした当たり前サイクルが構築されることを目標としている。