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ポルトガル金型産業情報

 ユーラシア大陸最西端に位置するポルトガル。『ここに地終わり、海始まる』(ポルトガル詩人カモンイスの言葉)のとおり、500年前まではまさにこの地が最果ての地であった。「水平線の向こう側は滝のようになっていて、船まるごと落っこちる」と信じられていた時代に、海の向こうに何かあると信じ、海を渡って世界に乗り出した航海者たちの精神力と想像力はなんと偉大なことか。15~17世紀の大航海時代に、道の世界を切り開いたバーソロミュー・ディアス、バスコ・ダ・ガマ、フェルディナンド・マゼランらが、すべてポルトガル人であることを考えると、ポルトガル人のパイオニア精神は世界でも群を抜いている。この大航海時代に象徴されるポルトガル人の冒険魂とパイオニア精神は、今でも脈々と受け継がれ、近年成長著しいポルトガル金型産業にもしっかりと根付いている。

 ISTMA(国際金型連盟)の2017年統計資料によると、ポルトガルはプラスチック・ゴム金型分野においては「金型生産国」であり「金型輸出国」である。金型生産・輸出はいずれも世界第8位、欧州ではドイツ、イタリアに次いで第3位を占めている。日本と比較すると面積では4分の1、人口では10分の1ほどの小国ポルトガルは、2018年名目GDP(USドル)こそ世界第47位であるが、金型においてはグローバルプレーヤーである。

 また、ISTMAニュースによると、2017年のポルトガル金型業界の輸出額は6.75億ユーロと、前年比8%増加し過去最高を更新したという。2010年時と比較すると、約2倍を記録。日本のリーマンショック以降の輸出額が横ばいである点と比較すると、ポルトガルの勢いは顕著だ。


 この金型輸出の勢いを下支えしている要因の一つは、ポルトガル金型工業会(Cefamol)の国際営業力の高さと言える。同工業会ホームページ上だけでも、年間通じて10以上の国際展示会や会議に参加し、会員企業のために海外販路を見出す手助けをしていることがうかがえる。ここ2~3年、行き先はEU圏内にとどまらず、大西洋を越えて米国、メキシコ、中国や、日本まで足を延ばし、積極的に各国の金型産業へとアプローチしている。


 また、ポルトガル金型工業会元会長であるMr. Joaquim Menezes氏は、今年、EFFRA(欧州全製造連合)の会長に選出された。EFFRA会長は、従来はロボットやレーザー加工などの大手機械メーカー出身者だったが、金型業界から史上初めて選ばれたことになる。このような偉業が達成できたのは、「金型産業地位向上のため、受注産業として受け身にならず、政府やユーザー業界に対して、量産を支える金型の重要性が正しく理解されるようメッセージを発信する努力を続けた結果だ」という。(ISTMA国際金型総会2018@スイスでの談話より)

 ポルトガルは1996年、CPLP(Comunidade dos Países de Língua Portuguesa)というポルトガル語圏共同体を、大航海時代に築いた基盤に基づき設立した。いまや人口2億人を超えるポルトガル語人口は、この枠組みの下、ポルトガル語圏諸国間の協力・連携を強めていく。これにより,ポルトガルはEU依存型の経済から脱却し、ブラジルやアフリカ諸国を取り込みながら世界における勢力図をじわじわと広げていくことだろう。

 “金型世界地図”においても大航海時代の栄華を思い起こさせる構図が見える。現在、ISTMAの会長国は南アフリカ、副会長国はポルトガルとブラジルである。この3拠点を結んでみると、大西洋を囲む三角形が出来上がり、まさに大航海時代の航路のようだ。世界の金型連盟を率いる3か国が、ポルトガル語圏と重なったのは単なる偶然かもしれない。大西洋域の金型産業を理解し、日本と連携していくために、弊社はポルトガル金型業界研究を続けていく。

 

執筆者プロフィール

石崎 奈保子

石崎 奈保子 - イシザキ ナホコ -

前職では包装分野の国際業務と英語講師業を兼務。ISO国際標準化分科委員会に所属し、環境対応包装、高齢化障がい者配慮包装の国際標準化対応の推進に従事。これまでの国際ビジネスコミュニケーション、通訳・翻訳経験を活かし、密着型でクライアントの海外展開サポートを行いたくBIPCに入社。入社後は主にメキシコ、インドを中心に進出支援、調査業務の実績を持つ。今後も現場の声を大切に、顧客の課題解決に取り組みたい。

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