もう1年ほど前になりますが、2017年3月にお客様と一緒にラオスに訪問し、販路開拓活動を行ってきました。
掲題の通り、特に中古自動車・部品市場における進出可能性を探ってきました。
タイ+1の進出先として注目される一方で、未知の部分も多い国ラオス。
その実態をお伝えしたいと思います。
ラオスの基本情報
内陸国のラオス。
北は中国、東はベトナム、南にカンボジア、南~西にタイ、西にミャンマーと接しております。
商流で言うと、元々タイ東北部との結びつきが非常に強いです。
実は、多くのラオス人はタイ語を話すことができます。
これはラオ語(ラオス公用語)とタイ語が非常に似ていることもありますが、輸入商品の多くがタイ経由で入ってくるので、ビジネス上タイ語が不可欠であることも理由の一つです。
また、近年は中国との関係が強くなっております。
首都ビエンチャンでもスーツを着た中国人ビジネスマンを何度か見かけました。
雲南省からメコン川が流れ注いでおり、物流面で利便性が高いために中国から物資が多く流れ込んでおります。
「一帯一路」政策上メコン川流域は重要地域であるため、投資・開発も進められており、インフラ整備も進んでいくと思われます。
また、地元の方に話を聞いてみるとAlibaba(中国最大手ECサイト)を活用している方もいらっしゃいました。
人口は、約670万人程(2017年)と、ASEANの中でもブルネイ、シンガポールに次ぎ人口が少ない国です。
しかし後述しますが、うまくいけばタイ東北部もラオス商圏の一部として含めることができます。
また、1人あたりGDPは2,353(米ドル)とASEAN最貧国クラスではありますが、実はベトナム:2,186(米ドル)よりも高いです。
ラオスは格差社会であり、都市部の購買力は低くありません。
一方、実に80%以上が農業従事者です。
彼らの多くは山間部に住んでおり、一日2ドル以下で暮らす国民が全体の60%を超すと言われております。
ラオスの2大進出先候補 -ビエンチャンか?サバナケットか?-
■首都ビエンチャン
製造工場/販売拠点どちらの場合でも、進出先の第一候補となります。
タイとメコン川を挟んですぐ隣に接する都市で、ラオス経済の中心地です。
富裕層である公官庁職員が住んでおり、購買意欲が旺盛です。
ゴルフ場なども開発されており、ラオスの資本はビエンチャンに集中しております。
進出する際に検討するべき点として物流面挙げられます。
物の輸出入はタイを縦断し、レムチャバン港を経由するのが一般的です。
またはビエンチャン国際空港を利用した空輸も可能です。
友好橋(ラオス-タイの国境)付近は、タイで組み立てた完成車が多く行き来しております。
逆に、ビエンチャンで製造した部品もタイへ運ばれて組み立てられます。
日本の建機もレムチャバン港を経由してラオスへ運ばれておりました。
製造業が進出する際には、タイ向け製造拠点として活用するメリットがあります。
物資の陸の輸送がネックになりますが、タイよりも人材採用が簡単、かつ人件費も安いです。
(111USドル/月、一般的にカンボジア、ベトナム、タイよりも安価)
ラオス国内向けの販売拠点を考えている際にもビエンチャンで間違いないでしょう。
タイ東北部を商圏としている現地企業も多く、併せて2,000万人程度の市場が見込めます。
■第二の都市 サバナケット
サバナケット(またはサバナケート/サワンナケート)はラオスでも2番目の大きさを誇る都市です。
輸出入では、ベトナム中部の都市ダナンの港を経由するルートとなります。
政府がダナン港の一角をベトナムから借りており、安価な港湾使用料にて活用できます。
サバナケットには、製造業の海外拠点としての進出が考えられます。
SEZ(経済特区)が置かれており、税制優遇が受けられます。そのため、既に日本の製造業が複数社進出しております。
また、ダナン港から国外輸出ができるため、インドシナ半島外への輸出が可能です。
そのため、タイ+他国向けの製造を手掛ける場合は、サバナケットも候補として検討する余地があります。
ラオスのビジネス環境 -保守的気質、共産国-
・国民気質
ラオスの人々は保守的です。
内陸国のために外資の進出が比較的遅れていることと関係があると思いますが、まだまだ競争市場が確立されておりません。
「ビジネスチャンスを積極的に探る」という姿勢を持つ人々はそうそう多くありませんので、ビジネスパートナーの選定が肝要です。
また、他途上国の例に漏れず、人脈が鍵となる社会です。
インターネットなどの公開情報では取得できる情報に限りがあり、販路獲得も個人経由が有効です。
・公共サービス、等
現地進出した日系企業のメーカー社長に話を聞いたところ、当初は人集めや自治体とのやり取りなどで苦労があったものの、パートナーと提携することでスムーズに回り始めたとのことでした。
また、税制が未発達です。
国民の所得を完全に把握できていないため、所得税への課税が十分に実施できておりません。
そのため、車両税に対して高額な税金を課すことにより、税収を賄っているなど、日本人からすると非常に不慣れな点があると思います。
また、ラオスは共産主義国です。
市場においてそれを強く感じることはありませんが、地方自治体や警察とのやりとりにおいて不透明な点が多くあります。
上記の点を勘案すると、やはり日本人のみで対処するとトラブルの元です。
信頼できる現地パートナーを見つけることがラオス進出の鍵になります。
生活面 -のんびり落ち着いた田舎スタイル-
・ラオスの食事
タイやベトナムと近いスタイルです。
ベトナムのフォーに似た米麺を食べましたが、あっさりして非常に美味でした。
付け合わせのハーブ類は食べ放題で、パクチーなどが好きな人には天国です。
(逆に苦手な人にとっては・・。)
・生活環境
治安は東南アジア諸国の中でも比較的良いと言われております。
首都ビエンチャンでも田舎の雰囲気が残る街で、のんびりとした雰囲気があります。
以下写真の通り、高い建物がほとんどありません。
自動車、自動車部品市場
最後に、ここからは出張の目的であった自動車、自動車部品市場に絞ってお伝えしたいと思います。
ラオスは、実はASEANの中では比較的新車割合が高いです。
中古車の輸入は原則禁止となっております。
しかし現地人に話を聞いてみると、中古自動車取り扱い業者には輸入割当のようなものがあり、一年に輸入できる台数(割り当て)が決まっているとのことでした。輸出を考えている場合には、現地業者と手を組む必要があります。
中古車販売店も多く存在しております。
・中古車について
自動車は左ハンドルでないと道を走ることができません。
そのため、日本、タイ、ベトナムから輸入された中古車は、ハンドルの付替え工事が行われます。
($1,000~1,500が相場、フィリピン等で実施する場合もある)
また、自動車部品は、タイからの輸入がほとんどです。
タイから非純正品の部品が多く入ってきております。
以下の写真は日本人からすると驚きですが、
なんとガソリン車をディーゼル車へ改造しているところです。。
内陸国のラオスは、燃油の運搬費も相まって燃油価格が非常に高いです。
そのため、燃費を考慮したうえで愛車をディーゼル車へ改造する人もおります。
・人気車種
ラオスの道は整備されておりません。そのため4WD車が非常に人気です。
官僚はランドクルーザーに乗りますし、他にはピックアップトラックなどが人気の車種です。
日系の自動車が多く、その他米系も走っております。
トラックでは、中国系も多いです。
ただし、故障が多いという認識で、資金に余裕があれば日系トラックを求める場合が多いとのことです。
ラオスでは陸路での輸送が必須となるため、トラックの需要は非常に高いです。
今後、インドシナ東西回廊の発展に伴い、益々の需要増が見込めます。
・周辺サービス
最後に現地人へのヒアリングから、自動車の修理サービスが不足しているとの情報がありました。
近年の電装部品の技術革新に対し、ラオス国内で対応できる技術者が不足しており、修理が行き届いていないようです。
修理不可能となった自動車が道端に捨て置かれている場面を何度か目撃しました。
まとめると、
ディーゼル部品、4WD車・トラック部品、電装修理サービスに商機があると言えます。
簡単ではありますが、以上が自動車市場の概要です。
おわりに
いかがでしょうか?
弊社ではJICAの案件化調査(農業機械分野)を支援したこともあり、進出調査(販路開拓、工業団地調査、等)、現地パートナーマッチング等手掛けることが可能です。
ラオスにて事業をお考えの方は、【お問合せ】から是非とも弊社にご相談ください!